間もなく北海道電力泊原子力発電所3号機が定期検査のために停止します。これで、国内のすべての原発が稼働を停止します。政策的な判断、「脱原発」への意志を踏まえての事態では必ずしもありませんが、しかし、今日5月5日は文字どおり原発が止まるという歴史的な1日になります。
大飯原発をはじめとして原発の再稼働に向けた政治の動きは強まっており、「停電」や「電気代値上げ」を持ち出しながら再稼働への道を地ならししようとする議論も広がっています。しかし、短期的にはピークカットに焦点を当てた節電対策によって、中長期的には自然エネルギーの活用や発送電システムの転換などによって、原発に頼ることのない暮らしと社会を設計していくことは、大いに挑戦に値する仕事となっていることも間違いありません。「脱原発」は、もはや声高に語られるべきスローガンであるだけでなく、生活と社会を設計し調整していく実務的な指針でもあるという実感が、社会のそこここに広がっています。
それにしても、ごく限られた大臣と民主党の一部幹部だけの会合の場で「再稼働」を強行しようとした政府の姿はあまりに不様で、腹立たしいものでした。そして、こうした政府の強引な動きに歯止めをかけたものが地方・地域の声、それを代弁する「自治体」の行動であったこともきわめて象徴的です。勝手には決めさせない。政府だけで動かさせない。われわれも、声を上げる。われわれの、声も聞け…。
「自治」の力で原発を止める。「原発」都民投票も、間違いなくこうした流れの中にあります。電気の超巨大消費地である東京でもし原発稼働No!の意思表示がなされれば、それは、日本の政治の流れを決定的に「脱原発」へと突き動かすでしょう。
「原発」都民投票条例の制定を求める署名の審査、縦覧が終了し、署名数が確定しました。有効署名数は32万3076筆。直接請求に必要な21万4206筆を大きく上回りました。画期的なことです。請求代表人は、5月10日に石原都知事に対して条例制定を本請求する予定です。請求されれば、知事は意見書をつけて20日以内に条例案を都議会に付議することになります。都民投票の議論は、いよいよ都議会に移ります。都知事はどう考えるか。都議会は、どう判断するか。
都民投票は、「原発」という社会と経済、さらには人権と命の根幹にさえ触れるテーマにおいて、市民=都民が主権者としての地位と権威を取り戻す場です。もちろん、都民投票で都民が「原発稼働No」の判断を示すどうかは、予断を許しません。しかし、直接民主主義というある意味で自治の原点とも言える手段を行使することで、私たちは、「脱原発」をわが事として考え、語り、そして決することができます。
「一握りの政治家には任せられない。決めるのはわれわれだ!」 都民投票は、密室で進む再稼働への動きを押しとどめ、広く、また真剣に「脱原発」を語り合う建設的な場になるはずです。都議会の議論を注目したい。そして、「脱原発」を願う人々が、都民投票の実現に向けて改めて力を合わせることを期待します。