「連携施設」はどうなった? ~もう一つの「3歳の壁」~

もし0歳から5歳まで一貫して保育を提供する施設、認可保育所や低年齢保育まで担う認定こども園がしっかり整備されれば、そもそも「3歳の壁」は生まれようがありませんでした。しかし、現実には、保育の基盤は年齢や事業体系、保護者のニーズも含めて多様化・複線化しています。とりわけ練馬区の場合、待機児童対策を“効率的”に進めるために0~2歳に特化した小規模保育などに大きく依存してきたため、「3歳の壁」は保育政策、あるいは待機児童対策の大きな課題として浮かび上がってきています。
この「3歳の壁」は、大きくは二つの柱に支えられています。ひとつは、3歳以降の受け皿が適切かつ十分に整備されているかという問題です。この点では、区が盛んに喧伝してきた「練馬こども園」は、入園料をはじめとして様々な限界があります。少なくとも、法に基づく施設である認定こども園にまで移行するよう、区は責任を持って支援と働きかけを進めるべきです。
もう一つの柱は、2歳までの保育と3歳以降の保育の継続性、円滑な移行を保証するシステムの問題です。小規模保育や家庭的保育を利用してきた子どもと保護者は、3歳の春、保育の場を自動的に失います。認証保育所も、多くは2歳までしか受け入れらない、あるいは3歳以降の定員をぐっと絞っている園がほとんどですから、同じです。3歳からの保育の場を探すことは、今はもっぱら保護者の責任と負担とされています。練馬こども園の場合は、そもそも区の調整の土俵にすら乗っていませんから、ますます保護者の負担は大きくなります。
しかし、実は、こうした「3歳の壁」の出現を想定して、国も区も、この壁を低くするための仕掛けを設けてきました。「連携施設」です。小規模保育や家庭的保育の基準を定めた区の条例には、こんな条文があります。

練馬区家庭的保育事業等の設備および運営の基準に関する条例
(保育所等との連携)
第6条 家庭的保育事業者等は、…つぎに掲げる事項に係人る連携協力を行う保育所、幼稚園または認定こども園(以下「連携施設」という。)を適切に確保しなければならない。
(1) 利用乳幼児に集団保育を体験させるための機会の設定、保育の適切な提供に必要な家庭的保育事業者等に対する相談および助言その他の保育の内容に関する支援を行うこと。
(2) 必要に応じて、代替保育(家庭的保育事業所等の職員の病気、休暇等により保育を提供することができない場合に、当該家庭的保育事業者等に代わって提供する保育をいう。)を提供すること。
(3) 当該家庭的保育事業者等により保育の提供を受けていた利用乳幼児を、当該保育の提供の終了に際して、当該利用乳幼児に係る保護者の希望に基づき、引き続き当該連携施設において受け入れて教育または保育を提供すること。

この第6条、とりわけその(3)は、「3歳の壁」を考える際にきわめて重要な条文です。連携施設は、小規模保育等を利用してきた子どものために、①「当該保育の提供の終了に際して」②「保護者の希望に基づき」③「引き続き」保育・教育を行う施設です。もしこうした連携施設が責任をもって確保されていれば、「3歳の壁」は無くなるとは言えないまでもぐっと低くなるはずです。
連携施設を確保することは、条例が定める基準、つまり責務です。しかし、実際には、少なくともこの年度末を迎える時点では連携施設を確保している小規模保育等は一つもありません。
条例が義務付ける連携施設がまったく確保できていない。なぜ、そんなことが許されるのか? それは、条例が附則の中で、一定の条件を満たせば5年間、つまり2020年3月末まで連携施設を確保しなくてもよいという経過措置を置いているからです。連携施設が一つも確保できていない現状は、ぎりぎり条例違反とは言えないのかもしれません。しかし、これだけ「3歳の壁」が深刻になり、これだけ2歳までの保育にウェイトを置いて待機児童対策を進めてきた練馬区が、この経過措置に甘えてよいとはとうてい思えません。
連携施設を早急に、計画的に、責任をもって確保していくこと。これは、個々の事業者だけではなく、むしろ練馬区の大きな責任です。

by ikejiriseiji | 2017-03-27 19:15 | 子育て | Comments(0)

練馬区議会議員・池尻成二


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