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23日の区議会文教児童青少年委員会で、保育所等の「待機児童数」が報告されました。4月1日現在で「48人」。これが、区の公式の数字です。
区は、この1年間「待機児童ゼロ作戦」を打ち出し、今年4月での待機児童解消をあらためて明言してきました。例えば、昨年11月の本会議で、区長自身がこう発言しています。
「かねて申し上げていますが、本来、待機児童対策は、自治体の保育行政だけではなく、育児休業などの労働政策や児童手当などを含めた総合的な政策として国が取り組むべきものです。また、幼稚園を活用した幼保一元化の実現も不可欠であります。
 区としては、こうした抜本的な対策を講じるよう、国に引き続き強く求めながら、まずは待機児童ゼロ作戦を完遂し、来年4月に待機児童が解消するよう、全力で取り組んでまいります。」
区長みずから公言してきた「待機児童解消」の約束は、果たされませんでした。残念です。
委員会では、部長からは「待機児童問題は全区的には沈静化してきた」という発言もありました。沈静化…そうでしょうか。「48人」という数字は、待機児童の実態とはずいぶんと違っています。育児休業中とされた172人については、国が新たに取りまとめた定義では、復職の意思を確認したうえで待機児童に含めることになっています。この172人を加えるだけで、待機児童は220人になります。1歳児1年保育は、年度を超えた保育継続の保証が全くなく、かつ保育料負担も認可保育施設等とは大きく異なります。区自身があくまで緊急的な「セーフティーネット」として位置づけているものでもあり、待機児童から除外するのはおかしなことです。この50人を加えると、270人です。そのほか練馬こども園に在籍している4人、「特定園のみ希望」で除外された369人の中にも、待機児童としてカウントすべき人が少なからずいるはずです。
安易に「沈静化」してきたなどと言うなかれ。私の第一印象です。
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by ikejiriseiji | 2017-05-31 15:50 | 子育て | Comments(2)
もし0歳から5歳まで一貫して保育を提供する施設、認可保育所や低年齢保育まで担う認定こども園がしっかり整備されれば、そもそも「3歳の壁」は生まれようがありませんでした。しかし、現実には、保育の基盤は年齢や事業体系、保護者のニーズも含めて多様化・複線化しています。とりわけ練馬区の場合、待機児童対策を“効率的”に進めるために0~2歳に特化した小規模保育などに大きく依存してきたため、「3歳の壁」は保育政策、あるいは待機児童対策の大きな課題として浮かび上がってきています。
この「3歳の壁」は、大きくは二つの柱に支えられています。ひとつは、3歳以降の受け皿が適切かつ十分に整備されているかという問題です。この点では、区が盛んに喧伝してきた「練馬こども園」は、入園料をはじめとして様々な限界があります。少なくとも、法に基づく施設である認定こども園にまで移行するよう、区は責任を持って支援と働きかけを進めるべきです。
もう一つの柱は、2歳までの保育と3歳以降の保育の継続性、円滑な移行を保証するシステムの問題です。小規模保育や家庭的保育を利用してきた子どもと保護者は、3歳の春、保育の場を自動的に失います。認証保育所も、多くは2歳までしか受け入れらない、あるいは3歳以降の定員をぐっと絞っている園がほとんどですから、同じです。3歳からの保育の場を探すことは、今はもっぱら保護者の責任と負担とされています。練馬こども園の場合は、そもそも区の調整の土俵にすら乗っていませんから、ますます保護者の負担は大きくなります。
しかし、実は、こうした「3歳の壁」の出現を想定して、国も区も、この壁を低くするための仕掛けを設けてきました。「連携施設」です。小規模保育や家庭的保育の基準を定めた区の条例には、こんな条文があります。

練馬区家庭的保育事業等の設備および運営の基準に関する条例
(保育所等との連携)
第6条 家庭的保育事業者等は、…つぎに掲げる事項に係人る連携協力を行う保育所、幼稚園または認定こども園(以下「連携施設」という。)を適切に確保しなければならない。
(1) 利用乳幼児に集団保育を体験させるための機会の設定、保育の適切な提供に必要な家庭的保育事業者等に対する相談および助言その他の保育の内容に関する支援を行うこと。
(2) 必要に応じて、代替保育(家庭的保育事業所等の職員の病気、休暇等により保育を提供することができない場合に、当該家庭的保育事業者等に代わって提供する保育をいう。)を提供すること。
(3) 当該家庭的保育事業者等により保育の提供を受けていた利用乳幼児を、当該保育の提供の終了に際して、当該利用乳幼児に係る保護者の希望に基づき、引き続き当該連携施設において受け入れて教育または保育を提供すること。

この第6条、とりわけその(3)は、「3歳の壁」を考える際にきわめて重要な条文です。連携施設は、小規模保育等を利用してきた子どものために、①「当該保育の提供の終了に際して」②「保護者の希望に基づき」③「引き続き」保育・教育を行う施設です。もしこうした連携施設が責任をもって確保されていれば、「3歳の壁」は無くなるとは言えないまでもぐっと低くなるはずです。
連携施設を確保することは、条例が定める基準、つまり責務です。しかし、実際には、少なくともこの年度末を迎える時点では連携施設を確保している小規模保育等は一つもありません。
条例が義務付ける連携施設がまったく確保できていない。なぜ、そんなことが許されるのか? それは、条例が附則の中で、一定の条件を満たせば5年間、つまり2020年3月末まで連携施設を確保しなくてもよいという経過措置を置いているからです。連携施設が一つも確保できていない現状は、ぎりぎり条例違反とは言えないのかもしれません。しかし、これだけ「3歳の壁」が深刻になり、これだけ2歳までの保育にウェイトを置いて待機児童対策を進めてきた練馬区が、この経過措置に甘えてよいとはとうてい思えません。
連携施設を早急に、計画的に、責任をもって確保していくこと。これは、個々の事業者だけではなく、むしろ練馬区の大きな責任です。

by ikejiriseiji | 2017-03-27 19:15 | 子育て | Comments(0)
23日、小金井市議会議員選挙の応援に行ってきました。片山かおるさんと坂井えつ子さん。市民自治こがねいという、歴史ある市民団体に支えられた二人です。片山さんは、2015年の私たちの区議選で応援してくださったし、その後も福島の避難者のことなどでとてもお世話になりました。二人には、なんとしても当選してもらいたい。
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半日、小金井に入って、この人口11万人ほどの自治体のことを少し知ることができました。野川、はけ、国分寺崖線も印象的でしたが、今日は「子ども」のことを。小金井市には、子どもの権利に関する条例があります。
     ➡条例本文はこちら

こうした条例があるだけでもうらやましいけれど、なかなか素敵な条例です。前文には、こう書いてあります。

子どもは、愛情をもって自分のことを考え、接してほしいと願っています。子どもは、成長の過程で間違い誤ることもあります。そんなときも、愛情をもって教え導かれ、見守りはぐくまれることで、自分自身のことを大切に思い、安心して成長することができます。
子どもは、自分の意思を伝え、受け止められることを願っています。どんなに小さい子どもでも、自分の意思を伝えようといろいろな方法で表現しています。それらを真剣に受け止めてくれる相手がいることで、他者の意思を受け止め、思いやるように成長することができます。
子どもは、より良い環境で育ち育てられることを願っています。安心して過ごすことができる相手や時間や空間が保障されることで、経験を成長にいかすことができます。自分の言いたいこと、考えていることを自由に表現できる環境が確保されることで、他者の考えに気付くように成長することができます。
このように、子どもは、愛情をもって育てられることで自分の意思を持ち、それを自由に表現できる環境があることで、他者と共に生活していることに気付きます。そして、他者と共に平和な暮らしを創り出すことが大切に思えるように成長することができます。「愛情」「意思」「環境」は密接に関連し合いながら、おとなへと成長していく子どもを支えているのです。また、「愛情」「意思」「環境」は、おとな、そして社会全体にとっても必要です。
「愛情」「意思」「環境」が尊重され、安心して生き生きと暮らしていくために、そして「愛情」「意思」「環境」を願い求める子どもの権利が保障される社会にしていくために、ここに条例を制定します。

名文、というのとはちょっと違うかもしれないけれど、でも、目線の低い、人の手の(あるいは、心持ちの)ぬくもりが感じられる文章です。一人の市民として、片山さんはこの条例作りに参加していたそうです。彼女の雰囲気、そして小金井の持つやわらかな空気と、どこかで重なって見えます。
もう一つ、見つけました。「いじめのないまち 小金井宣言」です。2012年10月に出されたもの。こんな宣言です。

未来を担う子どもたちが、笑顔とともに元気で、毎日を過ごすことは、みんなの願いです。ここに、「いじめのないまち 小金井」を宣言します。
一 こころをつなぎ「いじめゼロ」をめざします。
一 がまんをしないで相談します、相談させます。
一 ねばりづよく、かけがえのない命を守ります。
一 いじめをしない、させない勇気を持ちます。
小金井市は、学校等、市民の皆さんとも力を合わせ、子どもたちが温かい人間関係を築き、夢と希望を持って健やかに育つことができるように、全力で取り組むことを誓います。

これもまた、なかなかいい。いじめをなくす基本は「心をつなぐ」こと。「温かい人間関係を築く」こと。その通りのはずなのだけれど、「いじめ」に対する取り組みがしばしば強い言葉、規制的な表現、“上から”の目線で語られるのを聞いてきた身からすると、本当に新鮮です。
ちなみに、練馬区と練馬区教育委員会は「いじめ撲滅宣言」に大々的に取り組みました。その基本姿勢は、「いじめは、人間として絶対に許されない人権侵害です」と記されています。撲滅、許されない…こうした言葉や感性にずっと違和感を感じてきた私は、小金井に行って、少しホッとしたのです。
明日の投票日、良い結果を心待ちにしています。

by ikejiriseiji | 2017-03-25 23:55 | 子育て | Comments(0)
練馬こども園は、前川区長が大々的にアピールしている“練馬独自”の保育事業です。ただ、その内容は、旧来からあった幼稚園の預かり保育事業を拡大したものにとどまります。
練馬こども園の認定の条件は、
①幼稚園教育時間も含めて11時間以上の預かり保育を実施すること
②保育の実施日は年末年始と日曜・祝日を除く毎日とすること。ただし、土曜日、5日間以内の夏季休暇、幼稚園の指定する休園日は保育を行わないことができる
③地域型保育事業や認証保育所に通っていた子どもの受け入れに協力すること
です。こうした条件を満たす場合は、練馬こども園として認定され、また独自の補助金を受けることができます。
あくまで幼稚園の預かり保育ですから、まずは幼稚園に入園することが大前提です。入園時の手続きも、入園後の生活も、原則として各私立幼稚園との直接の契約であり、これまでの私立幼稚園と変わりありません。
そこで、いろいろと課題が出てきます。一つは、入園料です。予算審議の中で、区内にある私立幼稚園40園の入園料を資料として求めました。驚きました。平均は約9万円、最高は何と16万円もします。最低が5万円ですから、ばらつきも大変大きい。40園全部が練馬こども園の認定を受けているわけではありませんが、少なくとも最高16万円の入園料を取っているのは練馬こども園でした。
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10万円を超す入園料を取っている園は17園、ほぼ半分です。10万円、あるいは16万円という入園料を納めなければ幼稚園には入れない。そして、幼稚園に入れなければ、当然ながら、預かり保育も受けられない…入園料、これもまたなかなか大きな「3歳の壁」と言わざるを得ません。しかもこの入園料、例えば最終的に認可保育所に入れたから入園を取りやめたとしても、返金されない場合があるというのですから、驚きです。
保育時間が11時間まででしかないこと、夏季や行事日など、休園の日がいろいろとあることなど、保育の基本サービスの部分でも、練馬こども園と認可保育所などとはまちがいなく格差があります。しかも、練馬こども園は、そもそも区の調整に乗りません。入園選考のルールも基準も、各園が決めます。補助金を付けているのに、区自身も、練馬こども園の情報を公開することに決して積極的ではありません。こうしたことも含め、練馬こども園は「3歳の壁」対策としては大きな限界、課題を抱えています。
もし、幼稚園が法律に基づく正式な認定こども園になれば、原則として入園料の徴収はなくなります。他の保育施設・事業と一緒に、区が調整します。利用の判定基準も明確です。練馬こども園が認定こども園に移行できれば、「3歳の壁」を低くする大きな一助となるでしょう。予算審議の中では、市民の声ねりまとして、すみやかに認定こども園に移行するよう、幼稚園と区がしっかりと努力していくことを求めました。
※3.22 23:14 一部加筆

by ikejiriseiji | 2017-03-22 18:08 | 子育て | Comments(0)
「3歳の壁」が、じわじわと、大きく立ちはだかりつつある。そんな危惧を強く感じています。
区内の認可保育所等の一次申込状況で3歳児がかなり厳しい状況にあることは、先にこのブログでも触れました。


その後、ある認証保育所からは、3歳児に申し込んだ全員がだめだったとの報告が入りました。別な小規模保育事業所からは、次の居場所を探していた3歳児がやはり“全滅”だと。一次申込の時点ですから、まだまだ動きはあるかもしれません。しかし、“3歳の保活”は今、保護者に重くのしかかってきています。

昨年12月1日の文教児童青少年委員会て、子ども家庭部長がこんな答弁をしています。
「私どもとしては、選べる状況をつくるということでございます。とりわけ0、1、2歳に一番欠乏しているところでございますので、認証保育所、小規模保育事業を進めながら、一方で3歳になりましたら、練馬こども園という選択肢も本区ではあるわけでございます。そういうことによって、他団体でいう3歳の壁は、基本的になくなっている状況がございます。」
0~2歳の定員増を集中的に図るということで、この間、練馬区は小規模保育や認証保育所などに重点を置いて保育基盤の整備を進めてきました。そして、「練馬こども園もある。3歳の壁は基本的になくなっている」――区はこう言ってきたのです。本当でしょうか?
私のところに届いている声は、そんな段階ではありません。「区の窓口に行けば、練馬こども園のことを言われる。でも、近くにはない!」「預かり保育といっても、11時間。帰りが間に合わない!」…「3歳の壁」対策としてみたとき、練馬こども園は単純に数が足りているかどうかだけでなく、保育の内容も含め、明らかにミスマッチがあるのです。
練馬こども園は、基本的に、幼稚園です。認定こども園という法律に基づく新しい事業には移行しない、できない。そのかわり旧来の幼稚園の預かり保育をいくらか拡大する。練馬こども園は、こうした事業です。そして、幼稚園である以上、保育所などとは大きく違うルールや約束がいくつもあります。その一つが「入園料」です。 (続く)

by ikejiriseiji | 2017-03-20 17:56 | 子育て | Comments(0)
練馬区は、先に取りまとめた公共施設の管理計画で、区立の保育所について「概ね10年を目途に20園の委託」という方針を打ち出しました。区立保育所は全部で60園。2005年以来、すでに20園が委託になっていますが、加えてさらに20園。今日の文教児童青少年委員会で、そのうち前半5年間で委託に移す10園の名前が報告されました。

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委員会では、いずれは区立60園全部を委託に回したいというような答弁もあったようです。保育園の民間委託については、当初から様々な議論が続いてきました。これからまた20園、ということで、考えるべきことも大変多いと思いますが、とりあえず候補となった園のリストだけ紹介しておきます。なお、H32年度(2020年度)委託開始の場合は、2018年度に事業者選定、19年度に準備委託という流れになります。

by ikejiriseiji | 2017-03-10 14:29 | 子育て | Comments(0)
今年4月入園分の保育所申込状況について書いた記事に、こんなコメントをいただきました。
「上京して10年、練馬区に住んでいます。
しかし待機児童の問題を考え、結婚を機に他の区へ引っ越す事にしました。
今の20代30代はお金がないのに、産め、働け、もっと消費しろ、でも将来の年金は当てにしないで貯金しろ、と言われてとても辛いです。
税金を沢山払っているのに、恩恵がなく、ただ、搾取されている感じがします。
石神井川沿いに住んでいます。毎年桜が綺麗で、今年の桜を前に離れるのはとてもさみしいです。
私たち若い者も住みやすい待ち作りをして欲しいです。
お返事はなくて構いません。」
とてもつらいです。「子育てしやすいまち№1」になった!などと浮かれている時ではありません。

待機児童問題、この春もまた、深刻な様相を呈しつつあります。いや、新しい広がりを見せていると言えるかもしれません。その象徴が「3歳の壁」の問題です。練馬区の待機児童対策は、0~2歳に集中的に保育の受け皿を作ること、具体的には0~2歳を対象とした小規模保育事業等の重点的な整備に加え、認可保育所についても、0~5歳ではなく0~2歳のみの定員設定で整備することが目立っています。練馬区の0~2歳児シフトは、他の自治体に比べてもさらに目立って見えます。
しかし、0~2際に特化した保育事業が増えれば増えるほど、新たな問題が鋭く浮かび上がってきます。「3歳の壁」です。この問題を考える糸口として、この4月入園分の3歳児の申込状況をまとめてみました。
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3歳児は、募集枠287に対して申込数は545。単純計算で、倍率は1.9倍にもなります。数字だけで見ると、0~2歳よりかえって厳しいとさえいえる数字です。この「壁」をどうやって“乗り越える”のか。区は、何をどこまで用意できているのか。実態に即して検証することが、今、大きな課題になっています。

by ikejiriseiji | 2017-02-23 14:58 | 子育て | Comments(0)
今年4月の保育所等利用申し込みの状況(一次分)が、公表されました。

細かい数字が並ぶ資料です。総括的な表を作ってみました。0-2歳について、募集枠と申込みの状況をまとめたものです。過去3年分も並べてみました。

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募集枠は、この1年でかなり増えました。しかし、申込数もさらに増え、単純計算で1,000人以上が枠を超過、倍率はほとんど改善されていません。
一次申込の結果は、今週末に通知されます。そこから、“保活”の苦しく辛い第二段階が始まります。二次募集枠への応募、認証保育所探し…。しかし、この間、認証保育所から認可への移行でかなりの枠を増やしてきた分、一次で入れなかった子どもたちの受け入れ先となってきた認証保育所の枠は減っている可能性があります。この4月は、昨年度までに比べてもむしろ厳しくなっているかもしれません。
前川区政は、この4月での「待機児解消」を明言してきました。区政の一端に立つ議員の一人として、待機児童を出さないためにできる限りのことをするもりです。ご意見やご相談、お寄せください。

by ikejiriseiji | 2017-02-14 17:37 | 子育て | Comments(6)
保育料は、保育料条例の中に別表として定められています。所得に応じて20以上の階層に区分された表です。今回の保育料値上げは、この別表を書き換える形で行われます。
別表はどう変わるのか。区は、議案に添えた資料の中で、各階層ごとに現行と改定後の保育料を示しました。たとえば、こんな具合です。

●D18階層 現行 38,500円 条例案 45,400円 差額6,900円 改定率 18%
   ※同じ階層の表記が条例改定の前後で変わっています。ここのD18は改定後の番号で、現行ではD16に当たります。

全ての階層について、同じように数字が入れられています。いかにも、保育料はこう変わりますよと説明するかのように。しかし、実はこの表(数字)は保育料値上げの実態を全く不正確にしか伝えていません。
改定の前も後も同じ階層にいるのであれば、確かにこの数字通りの値上げになるでしょう。つまり、額で6,900円、率にして18%の値上げということになるでしょう。しかし、実は改定の前後で同じ階層にいる人ばかりではない。それどころか階層が移動する、つまりこれまでの階層から上や下の階層に移る人が極めてたくさんいるのです。
私が請求して初めて、区は、階層を移る人がどのくらいいるかという資料を公表しました。それによると、階層が変わらない、つまり条例改正の前後で同じ階層にいる子どもはわずか31.1%しかいないのです。階層が上がる子どもはなんと44.1%。階層が下がる子もいますが、こちらは24.8%。つまり、ほぼ二人に一人が階層が上がるのです。
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階層が上がるとどうなるか。
先ほど例に挙げたD18の階層で見てみましょう。この階層には、今は157人います。そのうち、条例改定後も同じ階層に残る子どもは何人か? わずか18人です。57人が下の階層に移り、逆に82人が上の階層に移ります。激しい人は、3つも階層が変わります。そして、階層が変わってしまうと、保育料の変化は全く違ってくるのです。
2歳以下の場合の保育料について、階層移動前後の保育料の変化を整理してみるとこうなります。3階層上がる人は、38,500円から58,100円へ。値上げは19,600円、率にしてなんと50.9%増です。月額19,600円増ということは、年にすれば24万円近くになります。たいへんな負担増です。
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実は、同じように階層移動によって大幅な負担増を強いられる人がたくさんいます。少数ですが、3倍近くになる人もいます。たとえばD1階層(現行のC2)の場合、9人が2階層上がりますが、保育料は2,400円から7,000円(2.9倍)に跳ね上がります。この階層の推定年収は約200万円。非正規雇用のひとり親世帯、かもしれません。この限られた年収の中で、保育料が年6万円近くも引き上げられるというのは過酷なことです。区は、保育料改定にあたって低所得者に配慮したと言っています。しかし、それはあくまで表の上でのことであり、ひとりひとりの実際の保育料変化を見れば、全く異なる実態が浮かんできます。
条例は撤回すべきです。改定の影響を具体的かつていねいに検証しながら、保育料負担の在り方に立ち返って議論をやり直すべきです。



by ikejiriseiji | 2016-12-09 11:33 | 子育て | Comments(0)
区議会第4回定例会も、残すところあと1日。最終日の明日は本会議が開かれ、議案の議決などが予定されています。いくつかの議案で討論と採決が行われる見込みですが、今議会の最大の“対決議案”は保育料条例の改定です。
区立・私立を問わず、認可保育所の保育料は条例で決められています。区は、この条例を改正し保育料を引き上げようとしています。1998年度以来改定していないこと、保育所運営経費に占める保護者負担(保育料収入)の割合が9.5%で23区で最も低いことなどを理由としています。しかし、改定されていないこと、23区でいちばん低いことそれ自体が悪いわけではありません。何が適正な水準なのか、保育料負担はどうあるべきなのか。この点で、区は明確な答えをついにできませんでした。子育て支援が社会の最優先の課題の一つとなり、国が「幼児教育の無償化」を大きな方向として打ち出している時期だけに、なぜこの時期に負担増? という思いは抑えられません。

     ➡「幼児教育の無償化について」 (幼児教育無償化に関する関係閣僚・与党実務者連絡会議)

しかも、問題は負担増が半端なものではないということです。
区は、議案の提出にあたってこんな説明をしてきました。
①平均保育料は18,000円が20,500円となり、13.7%の増である
②保育料が増加する児童が8,228人(73.6%)、減額となる児童が2,052人(18.3%)になる
③運営経費に占める保育料収入の割合は9.5%から10.8%になる
もともと値上げを目的とした議案ですから、ここで言われている数字はとくに意外なものではありません。むしろ、平均で保育料の値上げが13.7%に収まるということに加え、高所得者への負担増、低所得者への配慮なども語られてきましたから、さほど深刻な影響を及ぼすものではないという印象を持った人も少なくなかったかもしれません。
しかし、ここにまやかしがありました。公にされた資料ではわからない、過酷な値上げの実態があったのです。(続く)

by ikejiriseiji | 2016-12-08 12:12 | 子育て | Comments(0)

練馬区議会議員・池尻成二


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