<   2014年 04月 ( 10 )   > この月の画像一覧

 青年会議所主催の公開討論会に向けて、主催者の事前質問に応じて用意した回答の続き(最終回)です。今回は、まちづくり、若い世代のこと、そして防災です。
Q.練馬区は東京のベットタウンとして、都心部の他の区と異なり住宅街の役割を担っている現状があります。それは一方で、高層住宅の老朽問題や社会構成人員の高齢化といった課題を有しているとも言えます。練馬区の「まち」の環境をより魅力的なものとするためにはどのような対応策が必要でしょうか?目指すべき街づくり像を交え、そのビジョンをお聞かせ下さい。
●みどりや水辺など近傍の自然環境に恵まれた住宅地としての基本的な性格を大切にしたまちづくりの中で、若い世代の流出を押さえ、世代を超えたコミュニティが成熟していくよう、施策を検討します。
●高齢化は練馬にとどまらず普遍性の高いテーマですが、特に独居世帯、高齢のみ世帯が増えている中で、地域の支え合いやコミュニティの再生に取り組みます。
●また、若い世代が住み続けることができない、あるいは住み続けることを望まない理由は子育て支援施策のあり方、家賃助成など住宅支援の状況など様々であり、それらに目配りをした施策を検討します。
●練馬には、石神井公園周辺や豊島園地区など、個性あるエリアがいくつもあり、それらの個性を生かした練馬の顔づくりに取り組みます。

Q.全国的に問題となっている若年層の投票率低下について、これからの社会を担う層にはもっと政治に興味を持ってもらう必要があると思います。区長になった暁には、特に二十代から三十代の世代に向けて、どのように訴えかけて行きますか?政策なども含めてお聞かせください。
●施策や事業の提案、企画・立案もふくめ、思い切って若い世代のイニシアティブを促していきたいと思っています。と同時に、若い世代がアクセスしづらい、あるいは身近に感じづらい区や区議会のあり方についても、積極的に見直しをしていきます。
●町会・自治会等だけでなく、直接、若い世代と対話をする(仮称)若者会議を設置します。
●選挙も含め政治を身近なものと感じてもらえるよう、インターネット・ツールを駆使した区政運営、積極的なパブリシティ(広報)の展開に心がけます。

Q.3年前の東日本大震災以来、災害に対する区民の意識が高まっています。安全・安心のまちづくりのため、あなたはどのような対策を進めるべきとお考えですか?予算や期限のことを含めた意見をお聞かせ下さい。
●建物の大規模な不燃化、あるいは大がかりなまちの再構成は、時間も経費の面からも、大変長い時間と大きな努力を要する課題です。これらについては、都や国とも連携してしっかり進めていきますが、基礎自治体らしいより細やかで身近な取り組みも多々ありうると思います。
●たとえば、家具転倒防止助成の拡充、要援護者支援のシステムづくり、家庭における備蓄支援、高層住宅における対策づくりの支援など。これらは、ソフトに比重を置いたものが多く、区民と区との協力の取り組みで進めることが十分に可能です。
●それ以外にも、とくに、ハンディのある方の避難の体制にはまだまだ課題が多くあります。避難拠点となる学校の施設面、人的体制の面での点検は喫緊の課題です。
●「防災」は、ある意味で地域の力が試される課題です。広く地域のコミュニティづくりなどに取り組む中で、総合的な視野から災害に強いまちづくりを進めていきます。

by ikejiriseiji | 2014-04-29 12:43 | 選挙 | Comments(0)
 青年会議所主催の公開討論会に向けて、主催者の事前質問に応じて用意した回答の続きです。2回目は、環境、経済、交通です。
Q.練馬区の現状において、環境についての課題と認識されている事をお聞かせ下さい。またその課題の解決策をお聞かせ下さい。
●みどりが急速に失われています。「みどりの危機宣言」を発し、外環の2など大型道路計画を柱にした開発優先のまちづくりから、みどり・人・コミュニティを大切にしたまちづくりに転換します。●地域の皆さん、商店街の皆さんなどと協力して、石神井公園周辺をみどり・水・文化の中心拠点としその魅力を高め発信していきます。
●生ごみの資源化に本格的に取り組み、資源・エネルギーの再利用、環境負荷の低減を図るとともに、清掃工場の削減についても検討していきます。
●放射能汚染の人体や環境への影響をていねいにモニタリングし、区民の不安軽減に努めます。原発に頼らないまちと暮らしを作るためにも、再生可能エネルギーの導入に区を挙げて取り組みます。
●白子川流域を地下水涵養モデル地域に指定し、雨水浸透施設の設置等を体系的総合的に進めます。


Q.練馬区の現状において、経済についての課題と認識されている事をお聞かせ下さい。またその課題の解決策をお聞かせ下さい。
●若者やシルバーエイジの力を得て、介護、子育て、まちづくり等、さまざまな分野で地域における起業を促します。支え合い、助け合いの取り組みを新しい公共サービスの一つとして位置づけ、広げていきます。
●商店街を、コミュニティと生活支援の拠点として再生します。遊休店舗の活用のために、区の支援を強めます。
●公共交通を充実させ、移動しやすいまちにします。
●区民と農家を直接つなぎ、市場を通さない地場農産物の地産地消システムづくりに取り組みます。
●アニメ、みどりと水など地域性のあるコンセプトをもった観光振興に取り組みます。

Q.練馬区の住環境に関する課題の一つとして「南北交通の不便さ」という問題が挙げられます。外環延伸やエイトライナー等の対策が言われていますが、あなたがお考えになる南北交通問題の解決策を教えて下さい。
●南北交通という場合に、どのような交通需要を想定するかによって、解決策も様々に異なってくると思います。区境を超えた広域的な交通処理の課題なのか、それとも区内の移動を中心にした地域的な処理の問題なのか。それぞれの課題や必要をていねいに整理しながら、対応する対策を講ずるべきです。
●南北交通の不便さという点では、バス交通などの公共交通の充実を柱として考えます。その場合、バス交通を納めることのできる道路の確保は必要ですが、それについても都市計画道路の新設にとどまらず、生活幹線道路を中心とした現道の拡幅・改良も含め柔軟に検討していきます。
●都市計画道路については、半世紀以上前の計画線がどれほど合理的で必要であるのか、道路整備に伴うデメリットが的確に評価されているかといった視点から、その必要性や優先順位を慎重に検討していきます。

by ikejiriseiji | 2014-04-26 11:50 | 選挙 | Comments(0)
 区長選に立候補するにあたって、主な政策をリーフレットで公表しました。その内容は私の公式ホームページ(➡こちら)に掲載してありますが、これとは別に、お尋ねに応える形で政策や考え方を明らかにしたものがいくつかあります。選挙の振り返りの一つとして、ご報告をしておきたいと思います。
 まずは、選挙告示前の9日、青年会議所主催で区長選立候補予定者の公開討論会の折、事前に各予定候補者に出されていた質問に対する回答です。回答は参加者に配布されました。ちょっと長いので3回に分けて紹介します。かなり具体的な点にも踏み込んでお答えしています。落選してしまいましたので、区長の政策としては日の目を見ることはなくなりましたが、ここで書いたことを含め、区長選の中でおおやけにした考え方はしっかりと踏まえながら、これからも区政に関わっていくつもりです。
Q.練馬区の現状において、行政についての課題と認識されている事をお聞かせ下さい。またその課題の解決策をお聞かせ下さい。
●違法な「仮設」建築問題などに見られるように、区のコンプライアンス(法令順守)の基本が崩れています。
●急激な委託化の進展、人員削減の中で、職員の中から公務に携わる者としての意欲や目的意識が見失われつつあるように見受けられます。「創意豊かで市民感覚にあふれた公務員」を育てます。
●出張所を自治と協働の拠点として再活性化するなど、地域に入り、身近な区政を作ります。
●非正規職員の待遇改善と職務・身分の見直し、若い世代への門戸開放、女性職員の積極的な登用などに努めます。
●指定管理制度を含む「委託化・民営化」については、サービスの質、雇用管理、契約や個人情報保護のあり方など幅広い視点から検証し、今後のあり方を見直します。

Q.練馬区の現状において、教育についての課題と認識されている事をお聞かせ下さい。またその課題の解決策をお聞かせ下さい。
●教育の自立性、自主性を大切にし、特に現場の教師たちの創意あふれる取り組みを促します。
●配当予算を始め、学校の教育環境の維持・保全に充てる経費が削減されてきている現状を改め、施設の長寿命化のためにも適切な改修・改善を図ります。
●事務・用務・調理等の委託化・非常勤化を見直し、学校に必要な人を配置し、教師の負担を軽減するとともに、子どもの安全・安心さらには防災拠点等の役割をしっかり支えていきます。
●障害のあるお子さんもともに学ぶことを原則に、一人一人に応じた柔軟な支援を組みます。
●子どもの権利を守る第三者機関の設置を検討します。
●全ての学校図書館に非常勤の司書職員を配置するとともに、光が丘図書館を中央図書館として位置づけ、図書館事業の一体的な連携と推進を図ります。
●135号線の整備方針を撤回し、大泉第二中学の教育環境を守ります。


Q.練馬区の現状において、福祉についての課題と認識されている事をお聞かせ下さい。またその課題の解決策をお聞かせ下さい。
●保育所・学童クラブの待機児を解消します。認証保育所などの認可外保育施設における保育と費用負担の状況を検証し、改善を図ります。
●直営の地域包括支援センターを中核として、質の高い高齢者支援の体制を築きます。特別養護老人ホーム待機者の生活状況をていねいに把握し、施設、ケア付きの住居、在宅介護など多様な選択肢を提供しながら暮らしを支えます。介護施設等の負担のあり方を検証し、所得によって生じる“介護格差”をなくしていきます。
●障害者の社会参加や就労を広く促します。差別解消法などの趣旨を踏まえ、ハンディを感じさせない理解と配慮を地域に広げます。重い障害があっても、地域で自立して暮らしていけるよう、ケアハウス等の住まいを整備し、日中活動の場を充実させます。
●新規の病床確保がなかなか難しい状況を踏まえ、在宅医療の底上げ、現有病床の活用、医療・介護・保健の連携の充実に力を入れます。
●生活保護なども含め、「生きづらさ」を感じている区民に寄り添い、支えとなれる区政を目指します。

by ikejiriseiji | 2014-04-24 22:09 | 選挙 | Comments(0)
 区長選をどう振り返り総括するか。私の周辺で議論が続いています。
 今、私はこんなことを考えています。私が頂いた28,372の票には、二つの顔がある。ひとつは、新しい政治の核、“リベラル、社会的公正、協働を指向する市民のつながり”とでも言うべき政治の核が、他の大きな政党に伍して練馬の区政の中にしっかりとした位置を占めたということ。そしてもう一つは、この生まれたばかりの核はそこに集うたくさんの市民の豊かな熱意とは裏腹にまだまだ未熟で、実際に区政の転換を果たすために大きな力を発揮するまでには至らなかったこと…。どうでしょうか?

 それにしても、最終日の石神井公園駅での演説会は熱かった。車上にいた私だけでなく、300人近い聴衆の皆さんもそう感じたのではないでしょうか。この熱は真実です。そして、必ず次につながるし、つなげていかなければならないと思います。

b0017546_23264083.jpg
b0017546_23265762.jpg

by ikejiriseiji | 2014-04-22 23:35 | 選挙 | Comments(2)

区長選挙のご報告

28,372票、皆さまのご支援に心より感謝いたします■□■□■□■□■□■□

 区長選挙は、以下の結果となりました。

①前川あきお(自民。公明推薦) 77,651
②白石けい子(民主推薦) 41,047
③池尻成二 28,372
④菊池ひろし(共産推薦) 27,452

 私・池尻成二は28,372票で3位となりました。区政の転換を果たすためにぜひこの人を!と訴えてきましたが、当選はかないませんでした。民主党が最終段階で方針を一転させて立候補したことがダメージとなりましたが、政党の論理や思惑を超えて区長選を勝ち抜く力が私たちに足りなかったことも確かな事実です。
 選挙自体はとても充実したものでしたし、本当に温かい、いや熱い励ましをたくさん頂戴しました。無党派の市民がこうして一つにつながりここまでの結果を残せたことは、練馬の区政にとっても貴重な財産となったと信じます。この財産を大切にしながら、今後も区政に関わっていきたいと思います。これからも励ましとご指導を頂けますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
                             2014年4月21日 池尻成二
by ikejiriseiji | 2014-04-21 12:06 | 選挙 | Comments(2)

20日は投票日

 走りぬいた一週間が終わりました。とても充実した時間でした。練馬における市民の自治と参加に大きな一歩をしるす選挙になったかもしれない、そう感じさせてくれるような手応えもありました。
 区長選は大きな舞台。容易ならざる勝負であることは重々、承知。でも、勝利を信じて皆さんに最後のお願いです。

■明日は投票日■□■□■□■□■□■□

明日20日は区長選挙、区議補欠選挙の投票日です。期日前投票を済ませたという方もいらっしゃるかと思いますが、まだの方、ぜひ池尻成二に一票をよろしくお願いします。初めての区長選、全体の情勢はほとんど見えない状況ですが、候補者や選対メンバーからは広がり、浸透を実感させる報告も数多く上がってきています。最後まで力を尽くしたいと思います。ご家族やおともだちにもお声かけのうえ、投票にお出かけ下さい。

■区議補選はやないさんへ!■□■□■□■□■□■□

区長選と同時に行われる区議会議員の補欠選挙は、ぜひやない克子さんをお願いします。やないさんは生活者ネットワークの候補者です。今回、生活者ネットは池尻成二の区長選を全面的に応援してくれています。やないさんは、とても芯の通ったがんばり屋。池尻成二も信頼を置く候補者です。

 ご支援を、ぜひ!!
by ikejiriseiji | 2014-04-19 23:43 | 選挙 | Comments(1)
 区長選で走っています。文字通り…(~_~;)
 こういう時に動画は便利。1000の言葉より1分の動画、と言うべきか。以下、いくつか紹介します。ぜひご覧を。
     ★区長選公開討論会→ こちらから
     ★池尻成二と区政を変えよう!決起集会(一部)→ こちらから

 私自身が自分の政策を解説する動画も、相次いでアップしています。
     ★ 池尻成二応援サポーターズのYoutube版はこちらから
by ikejiriseiji | 2014-04-14 23:49 | 選挙 | Comments(0)
 6日、世田谷区の保坂展人区長をお招きしてシンポジウム<自治体からの「エネルギー転換」 世田谷区の挑戦に学ぶ>を開催しました。150人を超すたくさんの方に来て頂き、とても意義ある会合になったのですが、保坂さんとお話をしていて、あらためて自治体が変わるということの意味を実感させてもらいました。「変わる」…そう、変わるものなんですね。エネルギー転換という大きな幹に広がる枝や葉はとても多彩で生き生きとしている。それはきっと、区長のリーダーシップに加えて、何より区長が身近に市民活動の空気やたくさんの市民の姿を感じているからだと思います。
 詳しい紹介はまたの機会にさせてもらいますが、世田谷区の取り組みは一つ一つも大変参考になります。と同時に、取り組みの姿勢、様々な取り組みを包み込む空気や手法の変化が実はとても大きいとも感じました。何を変えるかだけでなく、どう変えるか。たくさんのことを学ばせてもらいました。

 お帰りになった保坂さんから、こんなメッセージを頂きました。
 脱原発とエネルギー転換を実現する現場は、地域であり、市民であり、自治体です。 大きな流れをつくりだすために、地域行政の変革のために新しい発想が必要です。市民の立場から地域社会の舵取りをする挑戦、頑張って下さい。   世田谷区長 保坂展人
 保坂さん、実は私と同い年。お忙しい中、本当にありがとうございました。

b0017546_10212054.jpg

by ikejiriseiji | 2014-04-10 10:23 | その他 | Comments(0)

よみがえる、「原風景」

 先の「原風景」の記事を書いたあと、急に思い立って古い写真を引っ張り出してきました。あった! そう、こんな風景。一気に思いは飛びます。(右は弟)
b0017546_23122429.jpg

by ikejiriseiji | 2014-04-08 23:12 | その他 | Comments(0)
 区長選に立候補する意思を明らかにして以来、私の個人史についてずいぶんと聞かれるようになりました。大学医学部中退から始まってそうそうないような“足跡”です。興味をもたれるのも無理からぬことですが、本人としてはあまりしゃべりたくないし、何より説明したくない。説明はいつも後付け。その場その場で選び取った人生、あとから説明できるほど筋書きがあるわけではないのですから。
 それでも、自分の子ども時代については、なぜか無性に語ってみたいという衝動に駆られます。実はもう10年以上前、2001年に「いぶき」7号で「生活の隣に自然を取り戻したい」と題して、こんな記事を書いていました。今も手を入れる必要がないくらい、よくまとまっています。再掲して、自己紹介に代えてみたいと思います。
 最近、自分の記憶の中に原風景のように残っている「自然」について考える。
 住んでいた福岡市内の公団アパートは、博多湾のすぐ近くにあった。5階建ての最上階から階段を駆け下りて、団地の中を走り抜け、貨物列車の引込み線をまたいでいけば、もうそこは海岸だった。海岸だったけれど、砂浜ではない。よく覚えている。岩、それも海草がこびりついたような岩でできた小さな岸壁があり、いつもその上に座って海を見ていた。
 海を見ていたといっても、それは、小さな子どものこと。遠い水平線をながめるような余裕はなく、ひたすら下を、岸壁から続く磯の風景を食い入るように見つめていた。いるいる、今日もいる。ハゼがうようよ、それにサヨリも。抱えてきた小さな竿に、取ってあったゴカイを付けて糸をたらす。そうやって、何日過ごしたことか。ハゼは、今も昔も貪欲でよく食らいつくが、サヨリはけっこう難しかったかな。すらっとした体と、とんがった口が何とも魅力的で、サヨリの群れを見つけるとわくわくしたのを覚えている。
 潮が引くと、岸壁の切れ目から海岸に降りる。ノリやテングサの合間を歩き回り、転がっている岩をひっくり返してはゴカイを探す。フナ虫もうようよいるが、こちらはなかなかエサにはならない。そういえば、ときどきは沖のほうまで歩いていって、アサリ掘りもした。博多湾は、遠浅だ。干潮時には、ずっとずっと、歩いていけた――もっとも、子どもの足でだから、実際のところはわからないが。
 山にもよく行った。これも、名のある山、高い山ではまったくない。父の実家があった、久留米市の小さな山だ。いや、山というよりもちょっとした、そう、今よく語られる「里山」のようなところだ。年に何回か帰省するたびに、山に入る。どこをどう行ったか、今ではさっぱり記憶はあいまいだが、行くたびにお墓の角のクヌギの木でカブトやクワガタを捕まえたのを鮮明に思い出す。
 あたりまえだった。生活の中に、自然が隣り合って暮らしていた。大げさなことではない。何か特別に珍しい、特別に貴重な自然などではない。しかし、というよりもだからこそ、その自然は、私の生活の一部として、きっと私を育ててくれたのだと思う。自然は、今思えば豊かだった。繰り返して言うが、たいした自然ではない。それでも、子ども心にその豊かさを感じていた。「学ぶ」「感じる」ことの楽しさを教えてくれる豊かさだ。自分の知らない世界、自分の知性や感性を刺激してくれる新しい発見を、自然はいつも、提供してくれる。飽きることはなかった。飽きることのないほど、広がりも奥行きもあるのが、自然なのだ。
 私は、1955年に生まれた。ちょうど、「高度成長」期に差しかかるころ、自然も社会も、人も意識も、大きく変わり変えられて行くとば口のところで、私は子ども時代を過ごした。今思えば、小学校のころ、ちょうど日本は激しく変わりつつあった。そして、いまや大きく変わってしまった。
 東京に出てきて20年。年に1回は、福岡に帰る。生まれ育った団地は高層に建て替わり、あの海ははるか遠くまで埋め立てられている。博多湾全体が、ずいぶんと埋め立てられた。あのダイエーホークスの本拠地、福岡ドームも埋立地の上にある。久留米に行くのは、本当に便利になった。以前は3時間もかかったような気がする久留米のいなかまでの道のりも、高速道路のおかげで1時間ちょっとですむ。いや、実は、いなかの実家がなくなった。便利にはなったけれど、久留米まで足を伸ばすことはもうほとんどない。
 この半世紀近い時間の経過と日本の社会の変容のなかで、私が個人的に得たものは大きかったが、しかし、失ったものも大きかったのだろう。考えてみれば、私が「政治」に志す気持ちを持つようになったひとつのきっかけも、たとえば水俣であり、大分の海に広がる「新産業都市」の公害だった。自然、そして自然と隣り合って暮らす人たちの痛みを、自分なりにどこかで共感できたのだと思う。
 失ったものをもう一度、取り戻したい。同じものを、同じ形でとは言わない。この東京で、今の時代なりのやり方で、この生活の隣に自然を取り戻したい。
 なぜ、そう思うのだろう。
 自然が人を育んだのであって、人が自然を作ったのではない。人は、社会を作り、知性を広げ、自然を作り変えてきたが、しかし自然そのものを作り出すことなどできはしない。自然の豊かさと複雑さ、奥行きと広がりの前に、人間はかなわない――そんな謙虚さが、実は、今の私たちにはとても必要なのではないか。わからないこと、知らないことに出会い、自分の無知を思い知らされたとき、本当に人は学びたくなるのだと思う。
 そして、いつも隣にある自然が人の手、企業の手で傷つけられ、ゆがめられるとき、その痛みはどこかで私たちのからだや心の中に響いてくる。自然の痛みを感じる心は、人の痛みをよく知るに違いない。私たちだって、自然の一部なのだから。自然との交流を見失った私たちは、いつのまにか隣にいる<人>を豊かな自然としていとおしむことも忘れてしまった。生活の隣に自然を取り戻すことは、自分の隣に<人>を取り戻すことにつながるように思えてならない。

 レイチェル・カーソンという、アメリカの女性化学者が、『センス・オブ・ワンダー』という本を残してくれた。この春、映画化され、練馬でも上映運動が進められている。その『センス・オブ・ワンダー』に、こんな一節がある。
 「子どもたちがであう事実のひとつひとつが、やがて知識や知恵を生みだす種子だとしたら、さまざまな情緒やゆたかな感受性は、この種子をはぐくむ肥沃な土壌です。幼い子ども時代は、この土壌を耕すときです。
 美しいものを美しいと感じる感覚、新しいものや未知のものにふれたときの感激、思いやり、憐れみ、賛嘆や愛情などのさまざまな形の感情がひとたびよびさまされると、次はその対象となるものについてもっとよく知りたいと思うようになります。そのようにして見つけだした知識は、しっかりと身につきます。」
 私たちは、自然との出会いとともに、カーソンの言う「肥沃な土壌」=“センス・オブ・ワンダー(不思議なもの、未知のものに目を見張る感性)”をにぶらせ、忘れてしまいつつある。そして、そのことが、人間社会をその底のほうですさんだものにしているのではないか。
 遠い自然は、どんなに雄大でどんなに稀有なものであっても、それを生き生きと感じ取るには大変な想像力を必要とする。身近に、生活の隣に、自然を――そして自然を感じ取る感性と知性を取り戻したい。それは、子どもたちの心に“闇”を見つけてたじろぐおとなたちの薄っぺらな教育論議よりも、はるかに有意義となるに違いない。

by ikejiriseiji | 2014-04-08 23:00 | その他 | Comments(0)

練馬区議会議員・池尻成二


by ikejiriseiji
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30